シニアとのハワイ旅行前に見ておきたいドキュメンタリー映画

以前、このブログの『シニア世代とのハワイ旅行にオススメの観光スポット』の記事では、シニアとのハワイ旅行にオススメの観光スポットをご紹介しています。

そして、そのうち、ハワイプランテーションビレッジと平等院テンプルは、日系移民の歴史に触れられるという理由から、歴史を好きな人が多いシニア世代にオススメとご紹介しています。

今回は、そのような日系移民の歴史に触れられる観光スポットを訪れる前に見ると、ハワイ旅行がより意義深く感じられるようになるドキュメンタリー映画をご紹介します。

Aloha Buddha (アロハ・ブッダ)

そのドキュメンタリー映画ですが、Aloha Buddha (アロハ・ブッダ)と言うタイトルのものです。

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このドキュメンタリーですが、2011年に制作されたハワイにおける日本の仏教を紹介するドキュメンタリーです。1880年代の日系移民1世の時代にハワイに渡った日本の仏教がどのように隆盛を迎え、そして消滅しかけているその現状を、インタビュー形式でとてもわかりやすくまとめたドキュメンタリーとなっています。

このドキュメンタリーを見ると、ハワイの日系移民の歴史、それすなわちハワイに伝わった日本の仏教の歴史と言うことがよくわかります。たとえば、ハワイへ日系移民が最初に渡った年は1885年なのですが、その当時の労働環境はとても悪く日系労働者の死亡率がとても高かったそうです。その弔いに、日本から住職に来てもらう必要があったのですが、同時に日本の仏教がハワイの日系人社会のコミュニティーを生み出すきっかけになりました。

1904年。日系労働者がワイパフのサトウキビ農園で、その労働環境の悪さに対し大規模なストライキを起こします。そして、そのストライキをおさめたのは、日本の仏教だったわけです。当時、慶応大卒の今村僧正と言う住職が、ハワイで日本の仏教を広める活動に大きく貢献していたのですが、ストライキ中の労働者は、「今村ビショップの話なら聞こう」と言う話になったわけですね。

と、このようにハワイの日系移民と一緒に渡った仏教は、お互いに切っても切れない関係にあることが、このドキュメンタリーを見ることでよくわかります。

日系移民の歴史、すなわちハワイの日本の仏教の歴史

私は、このドキュメンタリーを見る前は、ハワイにおける日本の仏教を軽く考えていました。「日本人がたくさん移民してるんだから、日本の仏教もハワイにそこそこ伝わってもおかしくないだろう」のようにです。ですが、このドキュメンタリーを見てその考えを改めることになりました。

このドキュメンタリーを見ると、ハワイにおける日本の仏教が果たした役割の大きさがとてもよくわかります。その最盛期には、キリスト教を抑え、ハワイの中で最大で独占的な宗教となっていた時代があったくらいなのです。

またこのドキュメンタリーから、ハワイに渡った日本の仏教が、日本における死を弔うための仏教と言う位置づけから変化したこともわかります。具体的には、ハワイの仏教では、キリスト教の様式を取り入れ、寺の中に座席があり、また日曜日に礼拝を行います。また、告別式や葬式だけではなく、誕生会やクリスマスパーティー、結婚式などの会場として、寺が利用されることになりました。このように、宗教を超えたコミュニティーの社会交流の場として、ハワイの日本の仏教の寺が活用されるように変化したわけです。

日系移民の歴史をより意義深く感じられる

このドキュメンタリーを見て、ハワイの日系移民とハワイの日本の仏教との関係を知っておくと、日系移民の歴史をより意義深く感じられるのでオススメです。

この記事の冒頭で、日系移民の歴史に触れられる観光スポットとして、ハワイプランテーションビレッジと平等院テンプルの2箇所をご紹介しています。それらの場所を実際に訪れる際にも、このドキュメンタリーを見ておくとより意義深く感じることができます。

ハワイプランテーションビレッジでは、プランテーションでの日系移民が暮らしていたその当時の様子のまま見ることができます。その意味では、日系移民のスタート地点を見られる場所と考えてもよいでしょう。そして、平等院テンプルは、ハワイの日系移民100周年を記念して建設された寺です。その意味では、日系移民のゴール地点と考えることができます。

私は、ハワイの平等院テンプルを訪れた際に、「なぜ日系移民の100周年の記念が平等院の建設なんだ?」と考えていました。そして、Aloha Buddhaのドキュメンタリーを見て、
「日系移民の歴史=ハワイの日本の仏教の歴史」と言う事実を知り、その理由がわかったように感じました。私は、平等院テンプルを訪れた後にこのドキュメンタリーを見たのですが、できれば訪れる前に見ておけばよかったですね。

消滅するのは時間の問題

このドキュメンタリーを見ると、ハワイにおける日本の仏教が、消滅するのはもはや時間の問題であることもわかります。消滅する理由は、シンプルで新しい世代の信徒がいないからです。

元々は、ハワイにおける製糖業の衰退が、日系労働者の離散につながり、それがハワイにおける日本の仏教の衰退につながっています。ある寺では信徒が数人で、それも70代、80代の人しかいない状況とのことです。

そして1920年代後半から1930年代前半に、建設されたハワイの寺の数は約150だったのですが、現存しているのは70とのことでした。残った寺も後継者がいないので、近い将来に廃寺となる運命は免れない状況なのです。

一時はハワイにおける最大の宗教にもなった日本の仏教のこのような現状に、私は「まさに盛者必衰だな」と思わざるを得ませんでした。

日系移民の歴史系の観光スポットに行く前にAloha Buddhaを見る

以上、日系移民の歴史に触れられる観光スポットを訪れる前に見ると、ハワイ旅行がより意義深く感じられるようになるドキュメンタリー映画として、Aloha Buddhaをご紹介しました。

このドキュメンタリーですが、ハワイのおける日本の仏教の歴史をまとめた純粋なドキュメンタリーです。要するに、「仏教に帰依せよ」のような宗教感を押し付ける部分は全くありません。なので、「宗教っぽいのはちょっと」と言う人でも、気軽に見ることができますよ。

このドキュメンタリーを見ておくと、ハワイプランテーションビレッジと平等院テンプルを訪れた際に、その場所をより意義深く感じられます。なので、シニア世代と訪れる際にはぜひ見ていただきたいドキュメンタリーですね。

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