今回は、初めてのハワイ旅行でする買い物が楽しみの人に伝えたい情報です。
ハワイの免税店で買っても、日本の税関では課税の対象になる
ハワイから帰国し、日本の空港で受ける税関検査は、免税店で買ったかどうかに関係なく課税されることをご存知ですか?
「えっ、免税店で買ったのに?」と思うかもしれませんが、その通りです。そのためハワイ旅行での買い物をする時は、「日本の税関で課税される可能性がある」と言うことに気をつけてください。
これを知らずに、「免税店で買ったから申告しなくて良いよね」と、税関検査で申告せずそれが判明してしまうと、関税ほ脱犯として「10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又は併科」の罪となる可能性があります。
日本の税金は免税ではない
海外旅行での楽しみの一つとして、免税品の買い物があります。なぜなら免税品は税金が免除されている分、お酒やタバコなどを始め様々な商品を安い価格で買えるからです。
ハワイ旅行において、免税品を買うチャンスは何度かあります。例えば、行きの出発する空港、行きの飛行機の中、ハワイ現地の免税店(Tギャラリア ハワイ by DFS)、帰りのホノルル空港、帰りの飛行機の中などです。それぞれ違った商品を扱っていて、お得に買い物ができます。
さて。安く買え魅力的な免税品なのですが、どこで買ったとしても最終的に日本に帰ってくる時に持ち込むと、それには日本の税金がかかる課税の対象となります。免税品を買った場合、この「免税」と言う言葉から、この点をちょっと誤解してしまいがちなので注意が必要です。
Tギャラリア ハワイ by DFSで買い物を例に
この注意点を、ワイキキにある免税店「Tギャラリア ハワイ by DFS」(以下DFS)で買い物をした場合を例に、解説します。
ワイキキのDFSで、日本円に換算して30万円の腕時計を買ったとしましょう。そしてこの時、免税されているのは、あくまでアメリカの税金(ハワイ州のオアフ島の場合は、セールスタックスの4.712%)です。
なので、本来は32万円くらいの腕時計が、アメリカのセールスタックスが免税される分お得な価格となり、30万円で買えているわけですね。
一方で。この30万円の腕時計を日本に持って帰る際に、税関検査でかかる税金は日本の税金です。なので、ハワイの免税店で買ったかどうかは全く関係無しに、課税の対象となります。
同様に飛行機内で購入した免税品であろうと、行きの成田空港内で買った免税品であろうと、アラモアナセンターで購入した服であろうと、海外旅行中に購入した物は原則全て日本の税関検査では課税対象となります。
30万円の腕時計を日本へ持ち帰った場合の税額
ここで、このDFSの免税フロアで購入した30万円の腕時計を、日本に持ち込む時にかかる税額を計算してみましょう。腕時計の場合は日本の関税の対象ではないので関税はかかりませんが、消費税と地方消費税がかかります。
その消費税額ですが、2014年10月現在では8%となっており、消費税率は6.3%、地方消費税率は17/63で計算します。ちなみに2015年10月1日から消費税率10%になった場合は、消費税率は7.8%、地方消費税率は22/78で計算となります。
以上を踏まえて、2014年10月現在での30万円の腕時計の税額は以下となります。
30万円の腕時計の税額計算
- 300,000円(海外市価) × 0.6 = 180,000円(課税価格)
- 180,000円(課税価格) × 6.3%(税率) = 11,300円(消費税額)※100円未満切り捨てる
- 11,300円(消費税額) × 17/63(税率) = 3,000円(地方消費税額) ※1円未満を切り捨ててから100円未満切り捨てる
★消費税・地方消費税額 14,300円
この計算では海外で買った価格である海外市価(30万円)の60%が課税の価格となります。それに対して消費税と地方消費税を求めた合計が、この場合に納める税額となります。結果として、14,300円の税額となりました。
この結果から、ハワイで32万円の腕時計をアメリカの税金が免税されて30万円で買えたとしても、日本の税関で課税される額を考えるとそれほどお得にならないことがわかりますね。
このような、税関での関税や消費税の額は、次のサイトを利用すると簡単に計算できます。
日本の税関の免税範囲
ここまで述べて来たように、ハワイ旅行中に購入して日本に持ち帰る物は、原則としては全て課税の対象となります。それが仮に行きの成田空港の免税店で買った物であっても、ワイキキや空港のDFSで買った物でも、ABCストアで買った物であってもです。
ただし。この日本に持ち帰る物に対しての課税には、免税範囲があります。そして、この免税範囲を超えない限りは、課税されることがありません。
その免税範囲は、例えば、酒であれば760mlのものが3本まで、タバコであれば日本製1カートン(200本)と外国製1カートン(200本)、香水であれば2オンス(約59ml)のように、決まっています。
そして、酒、たばこ、香水以外のものは、『その他のもの』として、旅行中に購入した商品の海外市価の合計額が20万円以内であれば免税となります。
この『合計額が20万円以内』と言うのがポイントで、仮に合計額が20万円を越えた場合は、旅行者が有利になるように課税されるます。たとえば、18万円のバッグと3万円の財布で合計21万円の商品持ち込む場合は、3万円の財布に課税されることになります。
また、上記の例で挙げた30万円の腕時計のように1つのもので20万円を越えていた場合は、その全額に対して課税されます。
最後に、1品目毎の海外市価の合計額が1万円以下のものは、原則として免税となります。たとえば、1箱1,000円のマカダミアナッツチョコレートであれば、9箱までは免税となります。
関税逃れが判明すると・・・
逆に、免税範囲を越えたものを日本に持ち込むときは、必ず申告して関税や消費税を納める必要があります。
なので、この事実を知らずに、「ハワイの免税店で買ったから、日本の税関に申告しなくていいんだよね」のように誤解をしたまま、日本の税関に正直に申告せずそれが判明してしまうと・・・。関税ほ脱犯として「10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金又は併科」となる可能性があります。なので本当に気をつけてください。
日本に帰国した時の税関検査に提出する「携帯品・別送品申告書」は、自己申告です。なので、嘘を書こうと思えば書けてしまいますし、また嘘を書こうと思っていなくても「ハワイの免税店で買った物は関係ないよね」のように誤解し、申告し忘れることも考えられます。
特にハワイ旅行では誤解しがちなので注意
特にハワイ旅行では、『DFSで購入したもの=日本の税関の課税対象ではない』と勘違いをしてしまいがちです。
というのも、お酒やタバコを買う日本人の旅行者に対して、ハワイのDFSのスタッフが親切心から日本の免税の範囲に収まる量で売ろうとするからです。つまりDFSのスタッフは、アメリカの税が免税されるDFSで、日本の税関の免税範囲で商品を売ろうとしてくれます。
例えば、DFSで日本の免税の範囲で収まるように、タバコを国産、外国産1カートンずつ買っていたとしましょう。日本に持ち込むのが、その2カートンであれば、免税で済みます。
一方、さらに、ハワイの別の店で、タバコを1パック自分用に買っていて、それも合わせて、日本に持ち込むとしましょう。この場合は、その1パックは、日本の税関の課税対象となり、申告する必要があります。日本に持ち込める免税範囲を超えているからです。
日本人旅行者は、ハワイのDFSにおけるアメリカのセールタックスの免税と、日本の税関での免税を、同じ「免税」と言うキーワードで混同してしまいがちです。そして、「ハワイの免税店で買った物は日本の税関に申告しなくていよい」と誤解してしまいます。
今回繰り返し述べて来たように、どこの免税店で買おうと日本に持ち込むものは原則全て課税対象であることを忘れないように気をつけてください。